だーさんのウイスキー広場

安いものからそこそこ高いもの、オールドボトルまで。ウイスキーラヴァーのテイスティング記録、ウイスキーブログです。

ジョニーウォーカーブラックラベル 香港回り流通品

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ジョニーウォーカーブラックラベル

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:家飲み

開封時期:開封3週間程度

オススメの飲み方:ハイボール

個人的評価:A+ 現行シングルモルトよりも濃い麦芽風味は一飲の価値あり。

総合評価(コスパ):★6 オークションで安価で手に入りやすい。

 

カラメルのような甘く焦がした香り、松脂のようなオイリーさを含むヨード香が混然と主張してくる。終盤までマツヤニ系の香りは持続するが、中盤以降は柑橘系の香りも出現して後味は良い。

口に含むとねっとりとした甘味で、後半にかけては麦芽香を伴うビターさが出現する。終盤にわずかにスパイシーさも顔を出すが甘味のある味わいが主体で強い余韻にはならない。

ハイボールではオイリーさが軽減し、ラガヴーリンのニュアンスが感じられる香り。口当たりの甘さは抑えられ、中盤以降に麦芽とチョコレートのニュアンス。終盤にはウッディさとビターな後味が出現し全体を引き締める。

 

流通時期不明ですが、キャップ形状やラベルから1980年代後半から1990年代前半流通と思われます。今回のボトルはオールドボトル特有のヒネ感そこそこあり、ストレートでは甘味も強くやや飲みにくい部分を感じます。この時期はカラメル系の甘口が目立ちますが、厚みのある麦芽風味が良さを感じることが多いです。

 マツヤニ系のフレーバーが僕にとっては苦手ポイントですが、それ以外は甘味のある非常にモルティなブレンデッドウイスキーで評価は高いです。ハイボールが良い印象ですね。

 この時期の流通品は、非特級表記のボトルは比較的安価でネットオークションなどで取引されていて、送料込で3000円以内~2000円前半で購入できることもあります。球数も多く、たくさん出回っていますので興味のある方は探してみてください。

 

ローヤル12年(2003年頃流通品)

 

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ROYAL Aged 12 years 2003年頃流通品

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:家飲み

オススメの飲み方:お湯割り(1:2.5~3)

個人的評価:A 毎日飲める、加水もOKな晩酌用ウイスキー

総合評価(コスパ):★5(700mlで約3000円)

 

香り:アップルフィリング、ドライパイナップル、溶剤系の香り、わずかに金属臭。中盤はナッティ・オーク香につながる。余韻はヒネ感を伴った麦芽の甘い香りが続く。加水しても香りが損なわれず、穏やかながらしっかりした香りが続く。
味:水のように抵抗のない口当たり、若干のえぐみとともに穀物の甘味が立ち上る。その後にスパイスが感じられるがスッと引いていく。少量加水でも味わいが薄まることなく甘味・まろやかさが伸び、コシもある。
 
サントリーの初代マスターブレンダー、鳥居信治郎氏が創り上げた日本人の口に合うウイスキー。おそらく初代から味の系統は変わらず穏やかで加水でも伸びる味わいというポリシーが感じられるボトルです。
原酒はサントリー1980年代後半から90年代前半の原酒。特徴としてはどっしりと重いコシのある酒質、香りの多様性は現行のサントリーウヰスキーと比べると乏しく、この時代の麦芽本来の強い味わいを楽しむのが良いでしょう。
 
この価格帯のスコッチブレンデッドにあるえぐみも少なく、口当たりも非常にまろやか。ウイスキー初心者にも受け入れやすい香味です。バランタイン12年やジョニーウォーカーブラックと比べると若干割高に感じるかもしれませんが、日本人が日本人のために創ったウイスキー。オールドボトルのあるバーで飲んでみる価値はあると思います。
 
この手の普及~中価格帯のジャパニーズブレンデッドは現在も町の酒屋さんみたいな小売商店では普通に置いて(売れ残…おっと誰か来たようだ)あることもあります。実際僕の近所の酒屋さんにも無造作に置かれていました。球数も多く、ネットオークションでも安価に購入することができます。
サントリーの系統が好きであれば購入を検討してみても良いと思います。

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個人的な好みですが、加水でも伸びる味わいを活かして、秋~冬はお湯割りもおススメです。なめらかでコシのある口当たりに温かさで香りが広がり体が温まります。

クライヌリッシュ14年

 

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CLYNELISH Aged 14 years

度数:46%

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:BAR飲み(BAR Enlightment)

個人的評価:A 甘口でスパイシー、ビターな後味はスキャパと似たニュアンス

総合評価(コスパ):★4 700mlで5500円程度

梨、青いハーブにかくれた熟したメロンの香り。蜂蜜の香り。
口に含むとピートと共にグローブ。ウッディは若い。
スパイシーな口当たりにねっとりと絡みつく甘味、ウッディな渋味・潮気。アロマキャンドル。余韻はバニラ、スパイスが長めに残る。

 

ネコのラベルですぐにわかるクライヌリッシュ蒸留所。

何かが突出しているわけではありませんが、様々な要素が絡み合う味わいはスコッチシングルモルトの多様性や懐の深さを感じざるを得ません。

常飲するほどの何か、というものはありませんが時々飲んで、「やっぱりうまいなぁ」としみじみ思うボトルですね。

グレンモーレンジ18年

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GLENMORANGE EXTREMELY RARE Aged 18 years

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:BAR飲み(原価BAR 五反田)

個人的評価:A+ 蝋のようなニュアンスが苦手でなければ素直に麦芽感を楽しめる

総合評価(コスパ):★4 (700mlボトル約9000~10000円)18年のスコッチシングルモルトとしては最近では安めな価格。

アーモンドにフルーティなエステルとアルデヒドのバランス。バナナ、甘夏の香りに干し草、微かな溶剤系の香り。鉛筆のような乾いた木の香りとほんのりと煙のピート、蝋燭。クリアな酒質は味わいはドライだが素朴な麦芽の風味も感じる。
後味はバニラとキウイ。干し草を伴った甘い余韻が長く続く。
 
軽めでサラッと飲めるクリアな酒質、硬水で仕込むこだわりを持つモーレンジです。オールドボトルはしっかりとした麦芽風味ですが、現在のモーレンジはクリアで軽い味わいを推しています。味わいはオフィシャルスタンダードである10年の延長線上ですが、深みやバランスはなかなか良いと思います。後半にロウソクのようなニュアンスがあり、人によってはパフュームと表現する方もいますのでその部分で好みは分かれそうです。気にならなければ素直な麦芽風味のミドルエイジボトルとして楽しめるでしょう。
 
 現在のオフィシャルボトルは、10年相当のオリジナルと今回の18年に加えて、シェリー樽フィニッシュのラサンタ、ソーテルヌ(貴腐ワイン)樽フィニッシュのネクタードール(テイスティング記事はこちら)、ポートワイン樽フィニッシュのキンタ・ルバンがあります。これらの12年のカスクフィニッシュシリーズはおススメです。スタンダード10年を別樽で2年間後熟させたもので樽の風味を知るには非常に勉強になります。
どれも甘口な仕上がりなのでこれからの季節に楽しむのが良いのではないでしょうか。

グレンゴイン カスクストレングス

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GLENGOYNE CASK STRENGTH BACH3 58.2%

グラス:テイスティンググラス

量:15ml×2(片方は加水)

場所:自宅

オススメの飲み方:ストレート

個人的評価:A+

総合評価(コスパ):★7

香り:生クリーム、カシス、コショウ、カカオ、若干の生木がハイトーンに吹き付ける香り立ち。口に含むとベリー系フルーツ、オレンジ、スパニッシュオークの香り。余韻はカカオとオーク、ドライクランベリーの甘酸っぱい余韻、ふわりとしたバニラ香。
味:ビターチョコを思わせるオイリーかつ甘味・苦味の混ざったニュアンス。中盤にはバタークッキー、麦芽の甘味、後半にスパイスが広がり、ドライでキレのよい後味。
*時間経過と共にチョコレートケーキを思わせるお菓子の甘い香りを感じる。

 

比較的地味な扱いのグレンゴイン。ブログやfacebookでも取り上げられていることが少ない銘柄ですが、なかなか良い味わいでした。

おそらくはシェリー樽原酒とバーボン樽原酒のバッティングでシェリー比率高め、ノンエイジながら体感では10年以上の熟成感があります。若い原酒に加えてミドルエイジの原酒も若干含まれていそうな構成、シェリー樽原酒はオロロソ中心と推測。ハイプルーフで6000円前後の価格はなかなかコスパが良いです。ネット上では5000円台前半で販売しているところもあります。

ストレートではシェリー風味とフルーティな香味がバランス良く合わさって良い味わい。近年のグレンゴインでよく言われているように樽材の影響が強いと思いますが、過熟ではなく好みの部分でしょう。

 

最近はオフィシャルのノンエイジカスクストレングスのリリースが増えて、それでいて全体的にレベルの高い味わいと感じます。今回のグレンゴインの他にも、アラン・スプリングバンク・ベンリアックなどがリリースしていますね。ベンリアック以外は飲みましたが蒸留所ごとの個性が出ていて良いなと感じさせる要素が多かったです。

 

子供が生まれて間もないため、しばらくは家飲み中心でおかわりネタや雑談ネタが増えるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。

ブラックニッカ ブレンダーズスピリット オススメの飲み方

僕個人に限らず、ネット界隈で評価の良いブレンダーズスピリットですが、せっかくのボトル買いですから色々な飲み方を試してみました。


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ハイボール ★★★★

 燻香とカカオ感がよく伸びます。全体的によく伸びますが、新しい要素は見えなかったです。ブラックニッカスペシャルはハイボールにすると若干腰砕け感があるので、このハイボールはアリではないでしょうか。食中酒で海産物や燻製と合わせると良さそうな印象です。一番合いそうなのは「鮭とば」かなー。

 

②トゥワイスアップ ★★★

 フルーティさ、シェリーらしいベリー系が開きますが一緒に硫黄を強く感じてきます。ここは好みだと思います。フルーティさを好むなら良いですが、ブラックニッカにフルーティを求めることも少ないかなと。

 

③ロック ★★★★★

 安定のうまさ。わずかな加水で舌に残るビターさが抑えられ甘味が膨らみます。燻香・新樽由来のウッディな香りはしっかり鼻に残り、秋の夜長に楽しむにはぴったりなイメージでした。ブラックニッカスペシャルもロックが良い感じなので、ブラックニッカの系統はロックが合うブレンドなのかもしれないですね。

 

④ハーフロック ★★

 一番オススメできない飲み方でした。甘味は強く感じますが、香りが全体的に抑えられてせっかくの多層的な香りが感じにくくなります。

 

 総合的にはロックが最も良かったです。ストレートでも良いし、気分によってロック、ハイボールも楽しめる。価格は安いですが、周年記念の大盤振る舞いですね。方向性は異なりますがスコッチブレンデッドならジョニ金やバランタイン17年と比較できる味わいに思います。

 

ストレートのテイスティング記事はこちらから。

ainoko777.hatenablog.com

ブラックニッカ ブレンダーズスピリット

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BLACK NIKKA  BLENDER'S SPIRIT

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

開封時期:開封直後

場所:自宅

評価:A

総合評価(コスパ):★8 

 

香り:トップノートは煙に洋ナシ、バナナ、クランベリー、キャラメル。口に含むと主張強めのピート、潮、オーク香。わずかに硫黄。穀物・バニラは下支え。余韻はオーク香・薫香が長く残る。

味:思ったよりも濃い目の琥珀色。口当たりは柔らかく、プレーンなモルト風味に焦がした苦味・樽由来の渋味が乗ってくる。中盤以降はホットケーキのような柔らかい穀物の香りが広がり、余韻はカカオが残る。

 

ブラックニッカ60周年記念に発売される、数量限定のボトルです。1956年蒸留の余市モルト、宮城峡蒸留所に移される前の西宮工場で蒸留された長期熟成カフェグレーンも使用されるなど、60周年の気合が入った内容です。

価格・生産本数を考えればそのような貴重な原酒の比率はかなり低いと考えられます。長期熟成ですから度数落ちしている可能性も否定できません。価格なりの味わいならいいなぁと思いながら飲みましたが、良い意味で予想を裏切る内容と言えました。

ブラックニッカスペシャルやG&Gといったニッカのブレンデッドラインナップと比較して、宮城峡シェリーモルトが華やかさをプラスした正統派ブラックニッカの系統、それでいて進化形といった印象です。

長めに保存してまとまりが良くなるとさらに良いかなと思います。1本は5年後くらいに飲もうと思います。

 

*ストレート以外の飲み方も試してみました。

ainoko777.hatenablog.com