だーさんのウイスキー広場

安いものからそこそこ高いもの、オールドボトルまで。ウイスキーラヴァーのテイスティング記録、ウイスキーブログです。

ブラックニッカ クロスオーバー


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BLACK NIKKA CROSSOVER

個人的評価:A

総合評価(コスパ):★6

 
フレッシュなアルコール感にバナナ、リンゴ。バニラと全体を包むピート、焦げた木の香り。
口に含むと意外と主張するピート、わずかに硫黄や乾いた木のウッディネス。柔らかいフルーティさからモルティなコク、ライチ。余韻の引き際は良いがピートが長く残る。 
ロックにしてもピートの主張は変わらない。フルーティさは後退する代わりに粘性のある甘味が感じ取れる。
 
昨年はブラックニッカ50周年記念としてブレンダーズスピリットをリリースしたニッカですが、今年も2つほどブラックニッカで限定商品をリリースするとのこと。その第一弾としてブラックニッカクロスオーバーが発売されました。
 スペック的には余市のヘビーピーテッド原酒と宮城峡のシェリー樽原酒をキーモルトにした個性豊かな仕上がりとの公式コメント。
 
 実際飲んでみると、新樽とおぼしき強烈なウッディネスと焦がしたピートのニュアンスが襲ってきます。シェリー樽の印象派と言うと、あまり主張してきません。強烈なシェリーというよりが中間での柔らかいフルーティさがメイン。そこから宮城峡らしいモルティなコクに繋がっている印象。昨年リリースされたシグナトリーのグレンリベット9年2006のような柔らかいフルーティさや甘味の要素を加えてくれているようです。
 
いい意味での荒さ、主張があるがブレンダーズスピリットとはかなり方向性の異なる味わい。好みは分かれそうですが、個人的には面白いかなと思います。ハイボールにしても腰砕けにならなそうな印象がありますので、価格的にもこれからの季節にぴったりなボトルだと思います。

ジョニーウォーカーブラックラベル 80~90年代流通

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 Johnnie Walker BLACK LABEL 

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:自宅飲み

個人的評価:A+ ヒネ感少なく、濃厚な甘味、重いピートを感じられる。

総合評価(コスパ):★6

 

ジョニーウォーカーらしいピーティ、スモーキーに合わせて柑橘系のさわやかな香りが立つ。口に含むとシナモン・カルダモンの甘口スパイスから、タリスカーとおぼしき刺激的なスパイシーさが目立ってくる。潮気・カツオ出汁、柚子ピールの香り。

甘口な口当たりにオーキーフレーバーが広がる。スパイスから出汁っぽい旨味。ほどよいコクと甘い香りが余韻として残る。

 

我が家の晩酌用ウイスキーとして活躍しているオールドのジョニ黒ですが、前回紹介したモノとは別のボトルです。このボトルは、割とヒネ感が少なく、寒さもあってかオフフレーバーが目立たずに美味しく飲めています。ラベル表記から香港の免税店での購入品でしょうか。

ピートに負けないどっしりとした麦芽風味の濃いフレーバーが楽しめます。ショットグラスでのストレート、お湯割り、ハイボール、何でもイケるオールマイティさが嬉しいですね。

 オールドボトルは保管状態によっては香りが変質してしまいとても飲めない、あるいは枯れてしまうボトルもありますが、今回のは大当たり。現行品とほぼ同価格で買えますから、ついこちらを選んでしまいます。1つ前に購入したボトルは金属臭が強く、ボトルを冷やしてハイボールにしないと飲めませんでした。

現行品は個人的趣味ではありますが、黒よりも赤の方がコスパと味のバランスが良い気がします。現行品の黒も素晴らしいんですが、飲むとさらに良いモノを飲みたくなってしまうという悪循環が…(笑)。

 

 1990年代以前蒸留はどっしりと重い麦芽風味、旨味が強いです。これはスコッチ・ジャパニーズともに同様の傾向を感じます。オールドボトルの方が美味しいという方もいますが、僕は毎日飲むには重いですね。

 気軽に飲むには現行品の方が良いです。蒸留方法や麦の違いだけではなく、時代に合わせたブレンドの方向性というのもあると思います。

岩井トラディション ワインカスクフィニッシュ

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IWAI RADITION  Wine Cask Finish
個人的評価:A
総合評価(コスパ):★6
シェリー香より甘めの果実香。黒糖系の甘味。梅、キウイなどのフレッシュで酸味ある果実香。口当たりはやや水っぽい?ピートの苦味にグレーン由来の若冠のえぐみ。余韻は甘味が広がる。ロックの方が甘味が抑えられ、飲みやすい印象。
 
マルスウイスキーの通年商品、岩井トラディションをさらにワイン樽で後熟させたものになります。
ワイン樽フィニッシュは初めてですが、甘めの赤い果実香に加えてらしいタンニン的要素も拾えます。実際にはかなり甘さが加わる印象で、個人の嗜好で言えばこのワインカスクフィニッシュよりも通常品の方が好みです。
 
ただ、この価格帯(3000円以内)であれば変な若さも感じないですし十分選択肢に入ってくるボトルだと思います。
最近はニッカもこの価格帯でブラックニッカの限定品を多く出していますし、非常に嬉しいですね。高くてうまいは当たり前、安ウマボトルを探すのも楽しみなんです。

アラン12年 カスクストレングス

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The Arran Malt Aged 12 years CASK STRENGTH

グラス:テイスティンググラス

量:15ml

場所:BAR飲み

個人的評価:A+ 強いフルーティーさと麦芽風味。ウイスキーの基本形を存分に楽しめる。

総合評価(コスパ):★7(フルボトル6000円前後)

 

 マスカット、ライム、リンゴなどのフレッシュなフルーツ、ドライパイナップル。ハチミツ感のあるオーク香も強くウッディ、バニラの香りも後から続いてくる。ファーストフィルのバーボン樽らしいフレッシュフルーツと強いオーク香が特徴。
 口当たりはハイプルーフらしいハイトーンで強力なフレッシュフルーツの香り、塩飴のニュアンス。その後麦芽の甘味を感じつつオーク香も強く残る。オイリーかつヘビーな口当たり。迸るアタックの強さとカスクストレングスの強い香味はスイスイ飲めるというよりもどっしりと腰を据えて飲む方が合う。

 

アイランズの新鋭、アランです。アイル・オブ・アラン蒸留所のあるアラン島は1836年を最後に全ての蒸留所が閉鎖されていましたが、1995年に蒸留が開始されて160年ぶりの蒸留所復活になったという経緯があります。

ノンピート麦芽で仕込むため、アイランズ的な塩気のある原酒でありながらヨード香はほとんどありません。豊かな麦芽風味が特徴の僕好みの蒸留所の1つです。

 

ファーストフィルバーボン樽のフルーティーさをダイレクトに感じれるのは好印象です。スペイサイド系の香味を分厚くした印象です。12年ものにしては飲み進めるのが若干きつく感じる程度に若さを感じる部分もあります。それが気になるかどうかで評価が変わるでしょう。

6000円以内という価格ながら、ハイプルーフカスクストレングスリリースです。オフィシャルボトルはカスクストレングスそのものが珍しく、価格も高めなことが多いです。12年ものとしては高めの価格帯ですが、コスパも良いと思います。

アランの酒質は素直な麦芽風味、そこに樽由来の強いフルーツの香りとハイプルーフのアタックの強さ。パンチのある味わいですが、コスパ良好な1本です。

バランタイン17年 1990年前後流通ボトル

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個人的評価:A+

総合評価(コスパ):★6

スモーキーさとともにシェリー香、オレンジピール、レモン、ハチミツ様の甘いオーク香。ワクシーさを伴う華やかな甘い余韻が長く残る。
口当たりは滑らかで初めはピート、焦がしたキャラメルのほろ苦さ、厚みはないがクリーンな麦芽風味、終盤はグレーンのえぐみもあるが総じてドライな後味を残す。
 
バランタイン17年のオールドボトル。オールドボトルとして評価は決して高くありませんが、リユース市場によく出回り状態も良いので何本か購入して楽しんでいます。僕自身ブレンデッドにハマりだしたのはこのボトルがきっかけです。
シングルモルトにはない飲みやすさと複雑さに強い衝撃を受けました。バランタインも基本的には60年代、70年代流通の評価が高いですが、このボトルでも古き時代の名残を感じることができます。
 
キャップが赤みがかったボトルが1990年代以前と思われます。お値段も手ごろですしオールドバランタインに興味が出たら買ってみても一興と思います。

グレンモーレンジ ドーノッホ

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 GLENMORANGE DORNOCH

 個人的評価:A

総合評価(コスパ):★4

トップノートはモーレンジらしいスッキリと香り高いオレンジ、シトラス。リンゴ、アプリコットを思わせるフレーバーにハチミツ系の乾いたオーク香。口に含むと意外と主張してくるスモーキーなピートフレーバー。蝋やワックスを思わせるモーレンジ18年にも共通するフレーバーが官能的な余韻として残る。
口当たりも滑らか、中間もキレイで嫌味もないが、主張も少ない優等生な味わい。余韻は若干ピリピリとした若さも感じるが、総じてバランスのよさを感じる。
 
免税店向けに販売されている、ライトピーテッドモルト原酒で構成されたボトルです。バーボン樽だけでなくシェリー樽原酒も使われているため、モーレンジ18年に共通するワックスのような香りが特徴的に感じられます。
 
 グレンモーレンジの特徴といえば、背の高いポットスチルで蒸留することによって生まれる雑味の少ないクリアな味わいです。個人的にはオフィシャルのオリジナルは若干飲み応えに欠けますが、様々な樽をヴァッティングさせた18年は非常に好みに合う味わいです。
 忘れてはいけないもう1つの特徴は、初めてカスクフィニッシュという手法を使った蒸留所でもあります。現在もバーボン樽で10年寝かせた原酒をそれぞれポートワイン樽、ソーテルヌ樽、シェリー樽でフィニッシュしたシリーズを通年で販売しています。
 
 このボトルも熟成年数は10年程度でしょうか。若干若さを感じます。個人的には好みと言えるボトルではないですが、クリアな香味が好きな方やスプリングバンクが好みの方なら気に入ると思います。

キルケラン12年

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KILKKERAN  AGED12 YEARS

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:BAR飲み

個人的評価:A ドライな香味が好きなら高評価か。バンク好きなら是非。

総合評価(コスパ):★6

ミネラル豊かなピートにバナナ、バニラ、バンクっぽいシェリー香。干し草のニュアンスに厚みのある木の香り。フィニッシュは穏やか。
口に含むと強い潮気とミネラル感、ピートが出てくる。中盤はボディの厚みがあり、静かでほろ苦さの余韻。時間経過でバニラ、キャラメルが開く。
 
 ミッチェルズ・グレンガイル蒸留所からリリースされたエイジ表記のオフィシャルボトル、キルケラン12年です。
 スプリングバンク資本で2004年に設立されたこの蒸留所、麦芽スプリングバンク蒸留所でフロアモルティングされた麦芽を使い、仕込み水も同じ水源ということで姉妹蒸留所的位置づけです。
  キャンベルタウンらしい塩気や豊かな麦芽風味もスプリングバンクに近いですね。完成度はとても高く、この価格帯では購入筆頭候補になりえる銘柄です。国内での販売前から注目され、ネットショップではあっという間に売り切れてしまい、現在も再入荷しているところはないようです。
 キルケランも新興ですし、日本もこれから新規蒸留所がどんどん稼働してきますからウイスキーラヴァーにとってはこれからがますます楽しみになってきます。みなさんも美味しく飲めるように健康には気をつけてください。