だーさんのウイスキー広場

安いものからそこそこ高いもの、オールドボトルまで。ウイスキーラヴァーのテイスティング記録、ウイスキーブログです。

G&G

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G&G

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:自宅飲み

開封時期:開封直後

評価:A ニッカの実直なモノ作りを感じられるボトル

総合評価(コスパ):★7 終売品ではあるが2000円弱

 

香り:ノージングでは内陸系ピート、フレッシュなアルコール、アップルフィリング。口に含むとスモーキーフレーバーが続く中でカカオ、ウッディから甘い穀物の香りにつながっていく。余韻は長く続かず、素直に消える。

味:ビターだがアルコール感は少なく雑味もほとんどないプレーンな口当たり。中盤で果実味が膨らみ、マーガリンのようなオイリーなニュアンスも若干感じる。後半でようやく穀物由来の甘味が出現するが、ピートのほろ苦さは全体を通して感じ、ドライな余韻として閉じていく。

 

 ニッカのブレンデッドウイスキー、G&G。ボトル形状からサントリーオールドに対抗心むき出しなボトルです。

 やや辛口、スモーキーさにグレーンの複雑な香味をプラスしたウイスキー、派手さはないけれど素直に「落ち着くなぁ」と思わせる味わいです。落ち着くけれど引き出しも多く、普及価格帯としてはかなりの完成度です。ブラックニッカスペシャルも同じ方向性ですが、G&Gの方がスモーキー&ドライという余市モルトの特徴が出ていて、より熟成感も感じます。

 値段は2000円弱、ジョニ黒と同じ価格帯です。ジョニ黒の方がやや熟成感と樽感は強く感じますが、コスパ・味わいともに競合できる出来です。ジョニ黒、バラン12年でも甘すぎるというドライ党なら確実に勧められます。

 ストレートも良いんですが、少量加水で余市のコクを引き出しても良いし、ハイボールでもコシがしっかりしており楽しめます。これ、現行のシングルモルト余市より余市モルトの良さを感じやすいかもしれません。厚みはあるけど雑味の少ない質の高い酒質だなぁと思います。

 惜しむらくはニッカショックで終売になってしまったこと。ブラックニッカスペシャルほど在庫が大量にあるわけでもないようで地域の酒屋などで時折見かける程度です。

 酒屋さんなどで定価で売られていたら是非購入を検討してほしい銘柄ですね。

アラン18年

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The Arran Malt Aged 18 years

グラス:テイスティンググラス

量:15ml

場所:BAR飲み

個人的評価:A 軽めでフルーティーな味わいは誰もが楽しめる

総合評価(コスパ):★4 (フルボトル11000円前後)

 マスカット、ライムのフレッシュなフルーツの香りとバナナ、パイナップル、桃を思わせるニュアンス。オーク香はなめらかながら、長く若干渋味も感じる。口の中ではフレッシュさと熟したフルーツの多層的なニュアンスと柔らかいウッディネスが混然とする。口に含むと甘いフルーツの後に麦芽の甘味とわずかな塩気。

 そこそこに飲んだ後のテイスティングのため、若干短めになります。この18年は12年カスクストレングスと垂直飲みしました。

12年カスクストレングスと比較すると、原酒ヴァッティングによって複雑味のあるフレーバー、特にフルーティーさのみならず、熟した果実やバニラなどの甘いフレーバーが広がり、ボディも軽めでバランスの取れた味わいです。カスクストレングスと比較するとブレンドの力を感じます。

価格は18年ものとしては平均的かやや高め。18年らしい樽感もあり、麦芽風味を好む人にはなかなか良い出来ではないかなと。BARで個性あるモルトの間に、箸休め的にしみじみ楽しむのが良いかもしれません。

ジョニーウォーカーブラックラベル 香港回り流通品

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ジョニーウォーカーブラックラベル

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:家飲み

開封時期:開封3週間程度

オススメの飲み方:ハイボール

個人的評価:A+ 現行シングルモルトよりも濃い麦芽風味は一飲の価値あり。

総合評価(コスパ):★6 オークションで安価で手に入りやすい。

 

カラメルのような甘く焦がした香り、松脂のようなオイリーさを含むヨード香が混然と主張してくる。終盤までマツヤニ系の香りは持続するが、中盤以降は柑橘系の香りも出現して後味は良い。

口に含むとねっとりとした甘味で、後半にかけては麦芽香を伴うビターさが出現する。終盤にわずかにスパイシーさも顔を出すが甘味のある味わいが主体で強い余韻にはならない。

ハイボールではオイリーさが軽減し、ラガヴーリンのニュアンスが感じられる香り。口当たりの甘さは抑えられ、中盤以降に麦芽とチョコレートのニュアンス。終盤にはウッディさとビターな後味が出現し全体を引き締める。

 

流通時期不明ですが、キャップ形状やラベルから1980年代後半から1990年代前半流通と思われます。今回のボトルはオールドボトル特有のヒネ感そこそこあり、ストレートでは甘味も強くやや飲みにくい部分を感じます。この時期はカラメル系の甘口が目立ちますが、厚みのある麦芽風味が良さを感じることが多いです。

 マツヤニ系のフレーバーが僕にとっては苦手ポイントですが、それ以外は甘味のある非常にモルティなブレンデッドウイスキーで評価は高いです。ハイボールが良い印象ですね。

 この時期の流通品は、非特級表記のボトルは比較的安価でネットオークションなどで取引されていて、送料込で3000円以内~2000円前半で購入できることもあります。球数も多く、たくさん出回っていますので興味のある方は探してみてください。

 

ローヤル12年(2003年頃流通品)

 

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ROYAL Aged 12 years 2003年頃流通品

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:家飲み

オススメの飲み方:お湯割り(1:2.5~3)

個人的評価:A 毎日飲める、加水もOKな晩酌用ウイスキー

総合評価(コスパ):★5(700mlで約3000円)

 

香り:アップルフィリング、ドライパイナップル、溶剤系の香り、わずかに金属臭。中盤はナッティ・オーク香につながる。余韻はヒネ感を伴った麦芽の甘い香りが続く。加水しても香りが損なわれず、穏やかながらしっかりした香りが続く。
味:水のように抵抗のない口当たり、若干のえぐみとともに穀物の甘味が立ち上る。その後にスパイスが感じられるがスッと引いていく。少量加水でも味わいが薄まることなく甘味・まろやかさが伸び、コシもある。
 
サントリーの初代マスターブレンダー、鳥居信治郎氏が創り上げた日本人の口に合うウイスキー。おそらく初代から味の系統は変わらず穏やかで加水でも伸びる味わいというポリシーが感じられるボトルです。
原酒はサントリー1980年代後半から90年代前半の原酒。特徴としてはどっしりと重いコシのある酒質、香りの多様性は現行のサントリーウヰスキーと比べると乏しく、この時代の麦芽本来の強い味わいを楽しむのが良いでしょう。
 
この価格帯のスコッチブレンデッドにあるえぐみも少なく、口当たりも非常にまろやか。ウイスキー初心者にも受け入れやすい香味です。バランタイン12年やジョニーウォーカーブラックと比べると若干割高に感じるかもしれませんが、日本人が日本人のために創ったウイスキー。オールドボトルのあるバーで飲んでみる価値はあると思います。
 
この手の普及~中価格帯のジャパニーズブレンデッドは現在も町の酒屋さんみたいな小売商店では普通に置いて(売れ残…おっと誰か来たようだ)あることもあります。実際僕の近所の酒屋さんにも無造作に置かれていました。球数も多く、ネットオークションでも安価に購入することができます。
サントリーの系統が好きであれば購入を検討してみても良いと思います。

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個人的な好みですが、加水でも伸びる味わいを活かして、秋~冬はお湯割りもおススメです。なめらかでコシのある口当たりに温かさで香りが広がり体が温まります。

クライヌリッシュ14年

 

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CLYNELISH Aged 14 years

度数:46%

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:BAR飲み(BAR Enlightment)

個人的評価:A 甘口でスパイシー、ビターな後味はスキャパと似たニュアンス

総合評価(コスパ):★4 700mlで5500円程度

梨、青いハーブにかくれた熟したメロンの香り。蜂蜜の香り。
口に含むとピートと共にグローブ。ウッディは若い。
スパイシーな口当たりにねっとりと絡みつく甘味、ウッディな渋味・潮気。アロマキャンドル。余韻はバニラ、スパイスが長めに残る。

 

ネコのラベルですぐにわかるクライヌリッシュ蒸留所。

何かが突出しているわけではありませんが、様々な要素が絡み合う味わいはスコッチシングルモルトの多様性や懐の深さを感じざるを得ません。

常飲するほどの何か、というものはありませんが時々飲んで、「やっぱりうまいなぁ」としみじみ思うボトルですね。

グレンモーレンジ18年

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GLENMORANGE EXTREMELY RARE Aged 18 years

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:BAR飲み(原価BAR 五反田)

個人的評価:A+ 蝋のようなニュアンスが苦手でなければ素直に麦芽感を楽しめる

総合評価(コスパ):★4 (700mlボトル約9000~10000円)18年のスコッチシングルモルトとしては最近では安めな価格。

アーモンドにフルーティなエステルとアルデヒドのバランス。バナナ、甘夏の香りに干し草、微かな溶剤系の香り。鉛筆のような乾いた木の香りとほんのりと煙のピート、蝋燭。クリアな酒質は味わいはドライだが素朴な麦芽の風味も感じる。
後味はバニラとキウイ。干し草を伴った甘い余韻が長く続く。
 
軽めでサラッと飲めるクリアな酒質、硬水で仕込むこだわりを持つモーレンジです。オールドボトルはしっかりとした麦芽風味ですが、現在のモーレンジはクリアで軽い味わいを推しています。味わいはオフィシャルスタンダードである10年の延長線上ですが、深みやバランスはなかなか良いと思います。後半にロウソクのようなニュアンスがあり、人によってはパフュームと表現する方もいますのでその部分で好みは分かれそうです。気にならなければ素直な麦芽風味のミドルエイジボトルとして楽しめるでしょう。
 
 現在のオフィシャルボトルは、10年相当のオリジナルと今回の18年に加えて、シェリー樽フィニッシュのラサンタ、ソーテルヌ(貴腐ワイン)樽フィニッシュのネクタードール(テイスティング記事はこちら)、ポートワイン樽フィニッシュのキンタ・ルバンがあります。これらの12年のカスクフィニッシュシリーズはおススメです。スタンダード10年を別樽で2年間後熟させたもので樽の風味を知るには非常に勉強になります。
どれも甘口な仕上がりなのでこれからの季節に楽しむのが良いのではないでしょうか。

グレンゴイン カスクストレングス

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GLENGOYNE CASK STRENGTH BACH3 58.2%

グラス:テイスティンググラス

量:15ml×2(片方は加水)

場所:自宅

オススメの飲み方:ストレート

個人的評価:A+

総合評価(コスパ):★7

香り:生クリーム、カシス、コショウ、カカオ、若干の生木がハイトーンに吹き付ける香り立ち。口に含むとベリー系フルーツ、オレンジ、スパニッシュオークの香り。余韻はカカオとオーク、ドライクランベリーの甘酸っぱい余韻、ふわりとしたバニラ香。
味:ビターチョコを思わせるオイリーかつ甘味・苦味の混ざったニュアンス。中盤にはバタークッキー、麦芽の甘味、後半にスパイスが広がり、ドライでキレのよい後味。
*時間経過と共にチョコレートケーキを思わせるお菓子の甘い香りを感じる。

 

比較的地味な扱いのグレンゴイン。ブログやfacebookでも取り上げられていることが少ない銘柄ですが、なかなか良い味わいでした。

おそらくはシェリー樽原酒とバーボン樽原酒のバッティングでシェリー比率高め、ノンエイジながら体感では10年以上の熟成感があります。若い原酒に加えてミドルエイジの原酒も若干含まれていそうな構成、シェリー樽原酒はオロロソ中心と推測。ハイプルーフで6000円前後の価格はなかなかコスパが良いです。ネット上では5000円台前半で販売しているところもあります。

ストレートではシェリー風味とフルーティな香味がバランス良く合わさって良い味わい。近年のグレンゴインでよく言われているように樽材の影響が強いと思いますが、過熟ではなく好みの部分でしょう。

 

最近はオフィシャルのノンエイジカスクストレングスのリリースが増えて、それでいて全体的にレベルの高い味わいと感じます。今回のグレンゴインの他にも、アラン・スプリングバンク・ベンリアックなどがリリースしていますね。ベンリアック以外は飲みましたが蒸留所ごとの個性が出ていて良いなと感じさせる要素が多かったです。

 

子供が生まれて間もないため、しばらくは家飲み中心でおかわりネタや雑談ネタが増えるかもしれませんが、今後ともよろしくお願いいたします。