だーさんのウイスキー広場

安いものからそこそこ高いもの、オールドボトルまで。ウイスキーラヴァーのテイスティング記録、ウイスキーブログです。

タリスカー 57°ノース

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TALISKER   57 North  700ml 57%

グラス:グレンケアン

量:30ml

場所:家飲み

個人的評価:A+

総合評価(コスパ):★6

トップノートは柔らかいピート香とバニラ香。コショウ、ココア、ローストしたナッツ類、完熟バナナ。磯っぽさや消毒液のようなヨード香は後半に出現。余韻はピートフレーバーと木材系のフレーバーが長く残る。香りはやや単調ながら密度は濃い。
ハイプルーフを感じさせない口当たり。焦がした麦芽の甘みの後にメロン、桃など甘い果実、ほろ苦いピートフレーバー。中盤以降は樽材の渋味が支配的に出現する。時間経過とともにバーボン樽由来のフルーティさ、ハチミツ感が加わってくる。
香り立ちは控えめながら口に含むと雑味もありつつ、複雑な厚みのある味わいを感じる。
 
タリスカー蒸留所が北緯57°に位置することにちなんで、57%のカスクストレングスでリリースされているオフィシャルボトルです。
これだけ樽感が強いのに多層的なアロマは控えめ、ノンエイジ品ですが10年前後の熟成年数でしょうか。あまり長熟は使われていなさそうです。
しかし完成度が低いわけではなく、ハイプルーフを感じさせない口当たりでそれなりの熟成感を感じますし、中盤はやや平坦な印象ですが香りの厚みや複雑さは好ましい要素として感じます。
 
ストレートでは平坦気味ですが、1:2の水割りにするとフルーティさが開いてきます。カスクストレングスは何故か水割りが合う、これは鉄板です。こいつも柔らかいヨードにフルーティさが開いてなかなかいい感じです。
ボディの厚みや原料由来の味わいを求めるのではなく、タリスカーの個性と樽の香味を味わうにはとても良いと思います。ネットで安いところでは7000円前後で販売されていますし、悪くはないですね。
重すぎず、かといって軽すぎもしないので家飲みに良さそうです。

スプリングバンク15年

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 SPRINGBANK Aged 15 years

グラス:テイスティンググラス

量:30ml以上

場所:BAR飲み

個人的評価:A

総合評価(コスパ):★5

麦っぽさ、土っぽさ、シトラス。強いベリー香、レモンケーキ、鉛筆のような乾いた木香 。
スパイシーな口当たりに広がる麦芽風味。生クリームのようなクリーミーさ、クセのない素直で長いオークの余韻。
 
モルトの香水」と呼ばれるキャンベルタウンモルトスプリングバンクの15年エイジ。シェリー樽中心のヴァッティングで華やかな香味が広がります。
スプリングバンクの特徴はまずキャンベルタウンモルトの特徴と言われる塩味。この15年も口に含むとまず塩気のような味わいを感じます。
もう一つの特徴が、このスプリングバンクは使用する麦芽の全てをフロアモルティングと呼ばれる昔ながらの方法で自家製麦しています。そのせいか、麦芽風味も厚く、ファンの多さも納得できる蒸留所です。
 
個人的には15年よりも不定期でリリースされる12年カスクストレングスの方が好みですが、加水46%でこの厚みのある味わいはなかなか飲みごたえがあります。ただ、この1万円いかないくらいの価格帯は美味しいモルトが選べる価格というか、どれを選んでもオフィシャルならハズレはない価格帯なので個人的にはストックはしない予定です。

ラフロイグ トリプルウッド

 

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LAPHROAIG  TRIPLE WOOD

グラス:テイスティンググラス(国際規格)

量:30ml

場所:BAR飲み

個人的評価:A ラフロイグらしい強烈なヨード香を受け入れられるかで評価が変わる。

総合評価(コスパ):★5 終売品

 

香り:トップノートはフルーティーな香りが中心。オレンジ、クランベリー、シェリー香。口に含むと強烈なスモーキー、潮、海藻。ヨードとフルーティさが長く続く。

味:口当たりはまろやかで強い甘味を感じる。その後ペッパー、クローブ、クミンの刺激系スパイスの風味が広がる。

 

免税店向けに販売されていた、ラフロイグトリプルウッド。トリプルウッドとはバーボン樽→クオーターカスク→シェリーカスクの3種の樽で熟成されたということ。それぞれのヴァッティングではなく、原酒を順番に寝かせる。ちょっと特殊な製法をとっています。

ラフロイグらしい味わいにシェリー樽での奥行きですが、後熟のためかシェリー香は控えめ。元々強い甘味を感じますから、控えめでも十分まろやかになってます。

でもラフロイグ、苦手なんですよね。ピート香ではなく、独特の海藻っぽさが苦手です。ただ、選り好みはしないようにたまに飲むようにしています。

好きな人は好きですから、まだまだ修行が足りませんね!

竹鶴17年

 

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竹鶴 PURE MALT 17年

グラス:グレンケアン

量:30ml

場所:家飲み

個人的評価:A+~(S) 

総合評価(コスパ):★6

 

香り:コーヒー、プラム、キウイ、キャラメル、タンニンを含むベリー香。口に含むと少しのサルファリー、オイリーな甘い香り、みかん、シナモン。ココアのようなウッディネスが長く続く。

味:柔らかなフルーツ、トースト、焦げ感。アルコールの刺激はほとんど感じず、バターやフィナンシェのような甘味・旨味が広がり、ピートのほろ苦さと果実の味わいがリッチな余韻として残る。

 

オフィシャルらしい多層的なアロマ、リッチな余韻。43%ながらボディも厚みがあります。値上げで現在は定価付近で7500円程度、ネット通販では1万オーバーになってしまいました。定価付近であればミドルエイジのウイスキーとして必要十分な価値があると思います。

 2015年9月の大規模なラインナップ整理、値上げの中で品薄となり、なかなか見かける機会が減ってしまいました。

 

品薄となったことで希少価値が高まり、ネットオークションでは高値で取引されています。ウイスキーブーム以降にウイスキーを飲むようになった人には、竹鶴17年て飲んだことのない、値段だけが高いような印象が先行してしまう気がします。

実際は定価の7500円程度では十分な味わいを持っていると思いますし、ニッカの伝統的な味わいが体現されています。ニッカの本気、というかよりレベルの高い味わいを求めるならば買い求めるのも良いかもしれません。定価で買えなければ僕はバーで飲みますね。1万オーバーでは買いません。

レダイグ18年

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LEDAIG Aged 18 years

グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:BAR飲み

個人的評価:A 軽めの酒質に主張の強いピートフレーバー。短熟の方が良いかもしれない。

総合評価(コスパ):★4

香り:スモーク中心のピートフレーバー。干し草・オキシドールのニュアンス。バーボン樽・シェリー樽由来の複雑さも顔をのぞかせる。後半は穏やかに内陸系ピートが余韻に残る。
味:酒質は軽めで口当たりは柔らかい。雑味も若干あるがリフィル樽系のプレーンな香味が主体。ベリー香やフルーティさもわずかに出現。後半には樽由来の渋みとピートが主体となる。
 
マル島にあるトバモリー蒸留所。ヘビーピーテッド麦芽で仕込むオフィシャルモルトレダイグの18年です。ちなみにノンピートの方が蒸留所名を冠したトバモリーになります。
このレダイグ、最近注目を集めています。ボトラーズのアイラモルトが軒並み高騰しているため、代替品として短熟レダイグが比較的安価なピーテッドモルトとして販売されています。僕はまだ飲んだことはありませんが、この18年を飲む限り短熟の方が合っているのかもしれません。
 

全体的には悪くないのですが、ミドルエイジで比較すると完成度はアイラモルトの方が上と感じます。酒質が軽いためか様々な樽のヴァッティングで得られる複雑な香味がイマイチ一体化していないように感じました。

近いうちに短熟も飲んでみようと思います。

グレンフィディック14年リッチオーク

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Glenfiddich Aged 14 years RICH OAK

グラス:テイスティンググラス

量:30ml以上

場所:家飲み

開封時期:開封一か月程度

個人的評価:A+ 個人の好みが反映された上での評価です。

総合評価(コスパ):★5

 

洋梨、リンゴ、濃厚なバニラの甘い香り立ちにオーク、フレッシュライムの酸味のあるフレッシュな香りが続く。中間以降で樽由来のフルーティな香り、若木のフレッシュな香りが出現し、フィニッシュまで継続する。
口当たりは滑らかで甘口。後半はオークの香りがたつとともに若干の渋味。余韻も渋味を残すフィニッシュ。少量加水すると甘味は抑えられ、乾いた木香・フルーティさが開くが口当たりにはスパイシーさが加わる。

ハイボールではフィディック特有の甘味が良く伸びるため、好みが分かれると思われます。

 

グレンフィディック12年の風味に加えて強いオーク香が支配的にあります。新樽でエキスが十分に出る事に加えて元々主張の少ない酒質ですから樽の影響をダイレクトに感じます。僕にはどの要素がアメリカンオークなのかスパニッシュオークなのかはちょっとわかりませんが、森林浴系な風味があり樽由来の香味バリバリを好む人にとってはマストアイテムです。

また、これだけオーキーな香りを前面に出したモルトは少ないので1本抱えるというより経験的にBARで飲んでみるのが良いかと思います。

シーバスリーガルミズナラエディションと共通点を感じます。元々のスタンダード12年に強いオーク香の後付け。元々の甘くて柔らかい酒質が好きであれば1つ上のレベルと感じられます。

 

個人的にはこのタイプありというか結構好きな部類です。開封直後は甘味の主張が強かったですが、落ち着いてくるとフィディックの素直な酒質に樽材の味が出てかなり好みな味わいでした。少量加水でスパイシーさを引き出してゆっくりくつろいで飲みたいですね。夏以外ではほとんどロックは飲みませんが、ロックも良さそうな印象です。

響17年 旧ボトル(2001~2007年流通)

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グラス:テイスティンググラス

量:30ml

場所:家飲み

個人的評価:A+ 強い麦芽・グレーンの味わいをミズナラでマスクした逸品。

総合評価(コスパ):なし 終売品。写真は180mlボトルを2300円で購入したもの

 

トップノートはオレンジ、パイナップル、紅茶。シナモンやココナッツのような甘い香り。加水でメロン、マスカットなど熟したフルーツの香りが豊かに。
口当たりはしっかりとした麦芽風味。麦芽、グレーンと間断なく穀物の旨味、風味が出てくる。渋味が後味として長く残る。
香りに厚みがあり、多目の加水で華やかな要素が現れてくる。

 

 サントリーブレンデッドウイスキーのハイエンド、響シリーズ。

 1989年にスコットランドのブレンデッドに負けないレベルを目指してリリースされたサントリーブレンダーの力の入ったボトルになります。発売当初はノンエイジ表記で17年相当の原酒が使用されていましたが、上記のボトルは現行ラベルに近いデザインで2001年に 「響17年」と年数表記が始まった当初のボトルになります。2007年にラベルリニューアルがありましたので、ここから逆算するとこのボトルに使われる原酒は1980年代以前のもの。

 麦芽感・グレーンの濃さはジョニーウォーカーなどのスコッチブレンデッドのオールドボトルと共通しますし、味わいのバランスや多層性など全体のクオリティは引けをとりません。ブレンダーの技術では日本は本場スコットランドに負けていないなと思わせる代物です。

  このボトル、開封直後はそこそこヒネ香があったのですが、1か月ほど放置したら香味が落ち着いて本来の響らしい味わいが戻ってきました。現行の響よりも重厚な仕上がりです。

 

 以前記事にしたローヤル12年(2003年流通)でも同様の重厚なフレーバーのニュアンスは感じ取れ、現行品の軽さも感じ取れます。どちらが良いというよりも、その年代なりの個性があるということだと思います。

 ブレンデッドとして軽さを求めるなら現行品の方が良いし、飲み応えを求めるならボディの厚い1980年代以前の酒質の方が合っています。気分によって飲むボトルを変えるのもウイスキーの醍醐味だと思います。